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287 記事Alternate Gothic
Alternate Gothic は、American Type Founders (ATF)の依頼を受け、1903年にMorris Fuller Bentonがデザインした書体です。3つのウェイトはいずれも黒みが強く、字幅の狭いスタイルとなっています。実は、この書体は同じくBentonの有名なサンセリフ、Franklin GothicとNews Gothicのコンデンス体としてデザインされましたが、20世紀初頭には今でいう「書体ファミリー」の考え方がなかったため、Franklin GothicとNews Gothicに合うようデザインされたにもかかわらず、違う書体名が付けられました。 頑丈でしっかりとした黒みのクールな実力者、Alternate Gothic は、限られたスペースの中で力強さを出したいときにぴったりの書体です。
Baskerville
書体デザイナーであり、印刷業も営んでいたJohn Baskervilleが努力を惜しまず取り組んできたのが、美しく組まれた究極の本をつくることでした。Baskervilleが用意したのは、漆黒のインクと滑らかな紙。いずれも、かつて習字教師や石彫り職人をしていた彼がデザインし、彼のもとで働いていた活字彫刻師、John Handyが彫った文字の美しさを最大限に引き出すためのものでした。現在、Baskerville活字の父型と母型はケンブリッジ大学出版局に収蔵されています。 このBaskerville書体は、英国の書体デザイナー、George W. Jonesが1929年にLinotype & Machinery社から依頼を受けて、Baskerville活字のEnglishサイズ(14ポイント)のローマンとイタリックを忠実に復刻したものがベースになっています。Jonesが復刻した活字は、その2年後にMergenthaler Linotype社によってアメリカに輸入されました。
Century Gothic™
20世紀半ばに生まれたデザインに、ゆったりとした現代的な雰囲気が加わりました。洗練されたサンセリフ書体のCentury Gothic™は、デジタル時代にふさわしい姿をとりながら、20世紀初頭の幾何学的書体の優雅さもしっかり残しています。 明快ですっきりとしたデザインは、どのサイズでも読みやすく、幅広いスタイルは本文や見出し用としても効果を発揮します。汎用性が高く、高解像度の印刷物や大きな看板に、さらには低解像度のテキスト表示やモバイル端末にも使える魅力的な書体です。
Classic Grotesque™
グロテスク書体の人気が高まったことで、20世紀初頭には類似のサンセリフ書体が数多く発売されました。ライノタイプやモノタイプといった自動鋳植機は互いに互換性はなかったものの、活字鋳造所はそれぞれに最新の書体を揃えようとし、その結果、一見同じように見えて、よく見ると違うという書体ファミリーが数え切れないほど登場することになります。こうした中で、自動鋳植機のために作られた最初の書体のひとつが、Monotype Grotesque®でした。 1926年に発売されたFrank Hinman Pierpontデザインのこの書体は、その後デジタル化されましたが、同時代の他のグロテスク書体のような人気を得ることはありませんでした。それでも、デザイナーの Rod McDonald にとっては好きな書体のひとつであり、2008 年、この「秘宝」を改刻するプロジェクトにMonotypeがゴーサインを出したときは、最高の気分でした。
Bodoni
Morris Fuller BentonがAmerican Type Founders (ATF)の依頼でBodoniの復刻に着手したのは20世紀初頭のことでした。この歴史的な書体がオリジナルに忠実な形で再現され、一般に販売されたのはおそらくこの時が初めてです。19世紀の伝統に則った頑丈で機械的な雰囲気もあるBodoniのシリーズは、誰にとってもなじみ深い書体です。
DIN Next®
約1世紀前に誕生して以来、DINは人気を集めながらもウェイトや字幅の種類が少なかったこともあり、実用性に乏しい書体でした。時代を超えた魅力を放つDINですが、現代のデザインニーズを満たすにはアップデートが必要でした。これに応えて生まれたのが、汎用性が高く、飽きのこないサンセリフ書体、DIN Nextです。 クラシックな姿から現代の新たな定番書体へと進化したDIN Nextは、LightからBlackまで7ウェイトあり、それぞれにItalicとCondensedが用意されています。ファミリーには4ウェイトから成るDIN Next Roundedもあるので、表現の幅はもちろん、重要な使い勝手の面でも魅力が高まりました。DIN Nextにはスモールキャップ、オールドスタイル数字、上付き・下付き文字、異体字なども用意されています。
Gill Sans®
ヒューマニスト・サンセリフ書体のGill Sansは、そのトーンやコンセプトからいかにもイギリス的と思われがちですが、実際はイギリスだけでなく、幅広い国で使われています。Gill Sansがこれほどまでに普及したのは、無限に近い用途を持った優れたデザインという、シンプルで納得のいく理由があるからにほかなりません。 Gill Sansファミリーは多彩なスタイルが揃っています。たとえばLightは開放的でエレガントな姿、Regularは底のフラットなd、上部のフラットなpとq、縦線の先端が三角形のtを特徴とする、コンパクトで力強い姿になっています。BoldはLightの持つ開放的でソフトな雰囲気がある一方、ExtraBoldとUltraBoldはその個性が際立つデザインになっています。いずれも目を引くような見出しに効果を発揮します。Condensed、ExtraCondensedまで揃った豊富なウェイト、言語の拡張サポートも充実したGill Sansは、何度でも使いたくなる書体です。
ITC Conduit®
実用本位の現代的なサンセリフ、ITC Conduit書体ファミリーは、日常に根ざした「ヴァナキュラー」の考え方を体現しています。デザイナーのMark Van Bronkhorstはこう説明します。「ボイラーや組立図、乾燥剤のパッケージにあるような文字です。グリッドをベースにしたシンプルな文字で、見た目は劣りますが、読みやすく、実直な文字です」 それぞれのエレメントが見事に組み合わさったITC Conduitの字形は、厳しさ、冷たさを感じさせることなく、クールな印象を演出します。出版物やパッケージのほか、案内・誘導サインにも最適です。
ITC Franklin Gothic™
角張った顎、力強くたくましい腕、それでいて穏やかな語り口——ITC Franklin Gothic™はたとえるならブルース・スプリングスティーンのような、まさにアメリカの気概を体現したような書体です。ファミリーに収録されている書体は豊富で汎用性に優れています。看板や印刷広告のほか、ウェブコンテンツや小さな画面での表示にも適しています。 ITC Franklin Gothicは1902年に作られたFranklin Gothicをリデザインしたものです。Franklin Gothicの持つ個性、雰囲気を守りながらも、xハイトを若干高くしたり、字幅を広めたりするなどして、オリジナルとの違いを出しています。Helvetica®、Univers®、Frutiger®などFranklin Gothic後に登場した書体は Franklin Gothicと同じプロポーションや特性を持っていますが、共通点はここまで。ITC Franklin Gothicはアメリカの初期のサンセリフ体の持つ力強さとバイタリティーをすべて備えています。