たづがね角ゴシック:鉄道分野のデジタルサイン表示

東海旅客鉄道株式会社(JR東海)は、東京、名古屋、大阪間を結ぶ日本の交通の大動脈で、東海道新幹線をはじめ東海エリア在来線を運営しており、日本国有鉄道が1987年に分割民営化した際の 旅客鉄道会社の一社です。

JR東海は、かつて国鉄であった時代に開発された独自書体で「すみ丸角ゴシック体」を使っていました。「明朝体」や「ゴシック体」のような選択肢 しかなかった時代に、柔らかで調和のとれたデザインの「すみ丸角ゴシック体」は、駅名標や方向幕などに広く普及し長きにわたり親しまれてきました。 かつての反転フラップ式から移行したデジタル表示であるLED(Light Emitting Diode)式運行表示器になってからは、列車名や停車駅、時刻表示などにはゴシック体が使用され、旅行者への案内情報などは明朝体で表示されていました。

LCD式運行表示器(東京駅)

LCD式運行表示器(新大阪駅)

さらに、JR 東海がこれまでに培ってきた歴史的、 文化的背景を新しい世代や環境へ繋いでいくために、「すみ丸角ゴシック体」を基調として組まれた列車名(のぞみ、ひかり、こだま、さくら、みずほ)の中から特徴を抽出し、たづがね角ゴシックのデザインに反映させたカスタム書体を提供しました。 2020年度導入予定のN700S新型車両のLCD 式車内テロップ(列車案内情報装置)にも同様のたづがね角ゴシックが選定されました。また、英語話者に対しても簡明に情報が伝えられるよう、Neue Frutiger のコンデンス体も採用されています。これらの書体によって、JR 東海はより快適な環境を提供することを目指しています。

たづがね角ゴシックの標準字形をカスタム

LCD式車内テロップ


Monotypeでは、企業が選ぶ書体についての課題や問題点を一緒に解決させていただくお手伝いをしています。まずはお気軽に相談ください。無料相談会も実施しています。 

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小林章

Akira Kobayashi

欧文書体の国際コンペティションで2度のグランプリを獲得して 2001 年よりドイツ在住。有名な書体デザイナーであるヘルマン・ツァップ氏やアドリアン・フルティガー氏との共同での書体開発のほか、Monotype日本デザインチームが開発して2017年に発表された同社初の日本語書体「たづがね角ゴシック」のディレクションを担当した。欧米、アジアを中心に講演やワークショップを行うほか、世界的なコンテストの審査員も務める。2022年にType Directors ClubのTDCメダルを受賞。

土井遼太

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東京藝術大学デザイン科を卒業後、英国レディング大学書体デザインコースで修士号を取得。2015年よりタイプデザイナーとしてMonotypeに在籍し、企業制定書体の開発や、書体選定をはじめとしたコンサルティングを行う。また、たづがね角ゴシックの制作メンバーとして、ファミリー展開やCJK(中日韓)言語に対応した字種拡張にも携わる。最近では、大学での講義や国際カンファレンスでの登壇を通じ、国内外に向けて書体についての発信をしている。